2003年8月に、作者が友人と共にドイツに行った際、ブレーメン空港などで見かけたドイツ宇宙開発関係の展示物です。
コミックマーケット64にてお会いした宇宙作家クラブの松浦晋也様に正体を教えて頂き、詳細について調べる事ができました。
初対面にもかかわらず懇切丁寧にお教え頂いた事を感謝すると共に、この場を借りて御礼申し上げます。
なお、このホームページは松浦様の「ホームページで公開したら」との提案により作成しました
ここでは撮影した展示物の中で、特に面白そうなものを選んで掲載しました。
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ゼンガー2(初期構想タイプ?) ゼンガー2とはドイツが研究していた有翼型宇宙船です。この初期型はSSTO(Single stage to orbit=単段式衛星軌道船)の中でも、HTHL(Horizontal takeoff and Horizontal landing=水平離着陸式)を採用しています。 ゼンガー2という名称は、ドイツのオイゲン・ゼンガー博士から採られています。この人は第二次世界大戦中にニューヨークを爆撃して太平洋上に着陸するという、対蹠地(たいせきち)爆撃機(Antipodisch bomber)を構想しました。その中の大気圏による水切り飛行理論と研究は、「ゼンガーの対蹠地爆撃(又は対蹠地飛行)」として有名です。なお対蹠地とは地球の反対側の事で、対蹠は「たいしょ」とは読まず、「たいせき」と読むのが正しいそうです。 この誇大妄想的な構想は、さすがのドイツ軍にも採用されませんでしたが、件のゼンガー博士は晩年の1960年代、レールから発射されるMBB社スペースプレーンの構想の顧問となります。大気圏水切り飛行を目指す構想ではなかったようですが、この構想も博士の死去により停止しました。 1988年になって、ドイツ宇宙開発機関は再利用式宇宙往還機の研究を開始、ゼンガー博士の研究にちなみ、宇宙往還機は「ゼンガー2」という呼ばれるようになりました(正式名称では無いようです)。なお、この黒い大型模型は風洞実験用の1/12模型です。 |
ゼンガー2(分離式)
初期は地上発進でそのまま宇宙に向かう構想であったゼンガー2が、技術的に困難であるとの理由により、母機プラス子機の2段式になった後期型です。ミュンヘンのドイツ博物館に展示されていた模型とは形状が異なります。
ゼンガー2の構想は、1988−1994年「ドイツ超音速技術7ヵ年プログラム」として研究が進み2億5千万US$が投資されました。この計画は後に「将来型欧州宇宙輸送調査計画(FESTIP)」に引き継がれ、欧州宇宙機関(ESA)のプログラムの一つとして「2020年以降の運用」を目指しているようです。
あまり聞いた事も無く、開発が中止されたようにも見えるのですが、今回ブレーメンで堂々と展示されていたので、研究だけは継続されているのかもしれません。
左上;模型のスケールは1/65。材質から超音速風洞実験用の模型とではないかと思います。
左下;配布されていた冊子にあった母機子機の組合せ例。こんなトリッキーな案も検討していたようで…
右下;同じく冊子にあったゼンガー2の軌道図。南米ギアナからの軌道に合わせるつもりらしい。
国際宇宙ステーション (ISS)
ブレーメン空港の到着口を出ると、いきなりISS模型が頭上に浮かんでいました。(上写真)
ISSとは地球軌道上約400kmに建設中の、米・露・欧州・日本など十数ヶ国の宇宙機関による宇宙ステーションです。
スペースシャトルのコロンビア号事故により建設が止まっていますが、現在も唯一人間の滞在する宇宙ステーションとして、その姿は地上からも肉眼で見る事が出来ます。一等星よりも明るく東京でも視認可能なので、興味のある方は日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページ等でご確認ください。
ISS計画にも変遷があり、この模型は最終形態に近いですが微妙に異なるところもあります。よく見ると中央下側にNASAとESAのロゴの付いた謎の物体が…。これは松浦様によると現在欧州で開発中の有人宇宙往還機とのこと。
ESA(欧州宇宙機関)にて開発していた有翼式「ヘルメス」が開発中止後、カプセル型として開発中のものだそうです。取り付け位置からするとCRV(搭乗員帰還機)かもしれません。(中写真)
更によく見るとISS模型にも、白く塗って細かく作られている部分と、グレーで中途半端に作られた部分があります。後者には、日本の「きぼう」も含まれています。もしかすると欧州宇宙機関(ESA)の関係していない部分は、作りが甘いのかもしれません。
下の写真は、ブレーメン空港の送迎デッキにあった展示物で、実物大のISS用実験棟模型と思われます。
空港に行ったのが朝早かったので、展示コーナーが閉まっており、扉越しにしか撮影できませんでしたので、詳細は不明です。
この展示コーナーにはエアバスの模型やら戦前の航空機などが展示されていますが、角度が悪いために撮影できませんでした。
MIRKA(Mikro-Ruckkehr-Kapserl)カプセル
ロシアの科学衛星カプセル「フォトン11(Foton N11/8)」のビギーバック(便乗)衛星として打ち上げられた欧州初の回収型衛星です。
1997年10月9日、ロシアのプレセツク射場からSL-4(ソユーズU)によって、軌道角62.81度、近地点218km、遠地点363km、一周90.33分の軌道に乗り、10月23日減速。再突入コースに乗った後にMIRKAを分離、共にカザフスタンにパラシュートで着地・回収されました。
表面には高熱によると思われる損傷があり、どうやら耐熱シールドの実験を行ったようです。
他の展示物もそうですが、説明版を撮影しても、ドイツ語が読めないので十分な解説が出来ません。いずれ何とかしたいとは考えているのですが、いつになるやら…
タービン/ラムジェット複合エンジン 吸気口模型?
説明を見ると、タービンジェットとラムジェット複合エンジンの、吸気口形状を決めるために作られた空洞実験模型のようです。
タービンジェットは現在一般的なジェットエンジンの事で、タービンに付いた羽根で空気を加速圧縮しジェット燃焼室に送り込んでいます。対してラムジェットは吸気口から空気を圧縮せずに燃焼室に空気を送り込む方式で、超音速飛行に適しているとされます。
ラムジェット最大の問題は、超音速飛行に至るまでの低速飛行効率が悪い事で、複合エンジンは、低速ではタービン、高速ではラムジェットを使用する事により、この問題を解決を図ろうという物です。
X−38 ノーズコーン(機首整形板)
X-38(下写真)とはISS乗務員用緊急脱出機の事です。
これまでの公開画像などを見て、外装はスペースシャトルと同じセラミックタイルを使用ではないかと漠然と考えていたのですが、展示物を見る限りは一般的な大気圏突入カプセルと同じような素材のようです。
DLA(ドイツ航空宇宙センター)は1998年にISSのCRV(搭乗員帰還機;この場合X-38のこと)のボディ、フラップ、ノーズコーンの開発をNASAと協定に達しており、この結果開発されたものではないでしょうか。

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