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00 聖典
ドイルによる60篇の聖典、ホームズ物語の戯曲、
その他のドイル作品、児童文学
2001-10 【36】
【創元推理文庫版】
『シャーロック・ホームズの冒険』
『回想のシャーロック・ホームズ』
『シャーロック・ホームズの生還』
『ホームズの最後の挨拶』
『シャーロック・ホームズの事件簿』
『緋色の研究』
『四人の署名』
『バスカヴィル家の犬』
『恐怖の谷』
阿倍知二 訳
深町眞理子 訳(事件簿のみ)
90年にドイルの著作権が消滅するまで、完全なホームズ全集を出版することができなかった創元推理文庫ですが、1991年にようやく『事件簿』を上梓することができ、完全な全集とすることができました。
創元推理文庫の特徴でもあるのですが、岩波や新潮と違って、かなりオリジナルに忠実な翻訳がなされています。このことは、新潮やハヤカワに比べて、本が分厚いことで一目瞭然です。英語が話せ、読むことができる友人によると、創元推理文庫版は訳をしなくてもいいようなところまで訳しているようで、ハヤカワの方が読みやすい、ということでしたが、僕はしつこいくらいに翻訳してくれている創元版が一番好みです。
【ちくま文庫】
『詳注版ホームズ全集 1〜10』
ベアリング・グールド 解説と注
小池滋 監訳
事件の起こった年代順などで並べられた全集で、ページの下半分を割いて書かれているグールドの詳注が最大の特徴です。グールドは、ただ全集をまとめただけではなく、当時の風俗などを知ることができる研究書でもあるという本を作りました。素晴らしい仕事です。
1巻の冒頭にはグールドによる小論が、10巻の巻末には新井清司氏による『日本におけるコナン・ドイル、シャーロック・ホームズ書誌』と名づけられた、膨大なリストが併録されています。
【新潮文庫版】
『シャーロック・ホームズの冒険』
『シャーロック・ホームズの帰還』
『シャーロック・ホームズの思い出』
『シャーロック・ホームズの事件簿』
『緋色の研究』
『四つの署名』
『バスカヴィル家の犬』
『恐怖の谷』
『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』
『シャーロック・ホームズの叡知』
延原謙 訳
もっとも一般的なホームズは、新潮文庫の延原訳です。華麗な文体という評価を得ている全集で、日本で最古の全集だそうです。文庫化される際にページ数の制限あった時代に編纂されたために、独自の『〜叡知』という短篇集が編まれています。
どうして『叡知』が生まれたのか。昔はノリがよくなかったので、分厚い本を作ることができなかった、ということなのでしょうか。それとも、値段を抑える必要があったから。今や、直方体に近い形の文庫本が作れるのですから、正規の冊数に直してもいいと思うのですが……。
【戯曲】
『専修人文論集 67 68』
(専修大学学会)
英文学を研究されている飯塚聡氏による、日本では未発表のドイル戯曲『ストーナー事件 上・下』が収録されています。ドイルのお気に入り『まだらの紐』を戯曲化した、もう一つの聖典とも言うべきホームズ譚で、翻訳を進められた飯塚さんには頭の下がる思いです。
【その他のドイル作品】
『シャーロック・ホームズの読書談義』
(大修館書店)
原題は『魔法の扉を通って』。ドイルが12回にわたって連載していた読書談義を、1冊にまとめた本です。ポーをはじめとする短編作家たちについてや、冒険や科学の小説について、拳闘について、『ローマ帝国衰亡史』などについて、述べられています。本書を読めば、ドイルの好むものがわかります。そこかしこに、ホームズの影が見受けられるような気がしますが、気のせいでしょうか。
『コナン・ドイルの心霊ミステリー』
(ハルキ文庫)
晩年には、スピリチュアリズムの聖パウロと呼ばれたコナン・ドイル。そんな彼が、心霊現象だと思われる様々な謎をまとめているのが本書です。身体を霊気に変え、脱出不可能な場所から見事に抜け出してしまう、と当時は本当に考えられていた脱出王フーディーニに関する記述や、お馴染の妖精に関する記述など。
大陸書房から『神秘の人』として出版されていたものが改題されました。
『ササッサ谷の怪』
(中央公論社)
コナン・ドイル未発表作品集1。全部で3冊あるはずなのですが、残りの2冊をなかなか見かけることが出来ません。表題作『ササッサ谷の怪』はドイルのデビュー作で、幽霊にまつわる迷信を解いて財を成すという話です。若いころは、幽霊に興味を抱きながらも迷信と思って、否定していたということでしょうか。他には、晩年の作品などが収録されています。
【児童文学】
『消えたグロリア・スコット号』
小林司 東山あかね 訳
(金の星社 フォア文庫)
例の夫妻による翻訳に、文中に出てくる言葉の説明、簡単なホームズ論が併録されています。
児童向けに優しく翻訳された本というのは、本当に無数にあるため、すべて集めようとは、とてもではありませんが思えません……(笑)。なので、この本と珍しい? 1冊だけを紹介しておきます。
『シャーロック・ホームズの冒険/宇宙戦争』
責任編集 阿倍知二 川端康成 他
(河出書房)
金色のハードケースに入れられ、カバーも本文中のイラストもすべてがカラーという本です。背表紙の白地に青で描かれたホームズのシルエットがなかなか恰好良いし、背表紙のイラストも鮮やかでなかなかです。昔は、こんなにも凝った本が作られていたのかと感心してしまいました。値段は《特別奉仕価格》で、590円です。
『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』というパロディ小説があります。ドイルはウェルズの影響を受けていたようですが、だから『宇宙戦争』が併録されているんでしょうか。それとも、英国だから?
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