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■ 融資業務の裏話 ■
内部告発ではありません。
誰にも聞けない、融資業務に関わる疑問に答えます。

融資に関連した疑問についてQ&A方式で記述しています。
  Q(1)一番借り易い銀行はどこか?
  Q(2)金融マンにはどのような能力が必要でしょうか?
  Q(3)談合などの不祥事を起こしている企業に融資を継続していて良いのでしょうか?
  Q(4)

粉飾決算を金融機関は見抜けないのでしょうか?
  Q(5)融資業務の勉強法を教えてください?


 (5)融資業務の勉強法を教えてください?
   融資業務では、銀行業務全般的な知識が必要になりますので、まずは現在担当している職務を確実に覚
     えることです。そもそも、融資業務は担当者の自己責任で処理をする部分が多いので、規則や手続きを理解
     し、確実に事務処理をすることが出来ない方は不向きです。そして、一般的な教養や知識が必要で、常に何
    事にも興味を持ち、幅広い知識でバランス感覚を養ってください。
 融資業務は金融機関によって規定や手続きが異なっています。そこで、始めは勤務先の規定や手続きを覚えま
す。用語などで理解が出来ない部分は先輩に伺いましょう。知識や経験によって理解度が深まりますので、その都
度何回も規定や手続きを読み返しましょう。
 つぎに、契約書などの書類を理解しましょう。類似する書類が多くありますので、使用用途を覚えます。それぞれ類
似書類を比較して違いを明確にすると理解が深まります。この違いを明確にすることが融資判断には重要になります
ので、数多い取引先を研究して違いの原因を追究しましょう。
 勉強法の第一歩は、日本経済新聞の見出しを毎日読んで、気になる記事をスクラップすることです。囲み記事や夕
刊の記事にも留意してください。活字を信じ込まないことも大切で、常に疑問を持って記事を読みましょう。私は、概
念で記述した記事か、実際に取材して記述した記事かを見分けることにしています。融資業務には”机上の空論”は
弊害になることはあっても役立ちません。そして、融資業務の辞典として「金融実務大辞典」(きんざい、本体価格12
千円)と「会社情報」(日本経済新聞)は手元に置きたいものです。業界紙や業界雑誌は支店や部署で講読すれば
十分ですが、1年程度を定期購読することで仕事に深みが出ます。経営・財務・法務・税務などの知識は極力易しい
書籍を購入します。そして、用語ばかりを覚えても実務では役に立ちません。FPや中小企業診断士あるいは銀行業
務試験など資格試験の合格を目標にして勉強に励むことも良いでしょうが、知識偏重は却ってバランス感覚を損なう
ことにもなりかねません。そして、世の中は理屈どおりでは動きませんし、中小・零細規模の企業に理論を当てはめ
ることは困難です。むしろ、取引先の努力や苦労あるいは悩みを共感できる感性を磨きます。融資業務には基本的
な財務分析の能力が必須です。多くの経営指標は割合と回転期間で表しますから、この意味合いを理解してくださ
い。パソコンの活用も融資業務には必須です。簡単なワープロ機能や表計算ソフトは習熟しましょう。論理式のIF関
数で論理的な思考方法が身につきます。融資業務では、この論理的な思考を必要します。そして、常に仮定とその
検証を繰り返し、事実を直視する訓練をします。推理することや探偵ゴッコも融資業務の勉強に役立ちます。興味を
持てば、通勤電車の車窓からの景色で学ぶことも多くあります。そして、融資業務には集中力と”気分の切り替え”
が重要になりますから、適度な趣味を持つことも大切です。家庭の平安や健康管理にも努めてください。

 (4)カネボウが長期間にわたって粉飾決算をしていたとの報道ですが、融資をしていた
      金融機関は見抜けなかったのでしょうか?
   当然、見抜いていました。カネボウは一部上場会社ですから、経営陣と監査法人は虚偽報告をしていたの
     ですから社会的制裁を受けなくてはなりません。そして、この粉飾を許したメインバンクも同罪で、単に債権
     免除をするだけでは、本来は済まされない問題です。
 多くの企業の決算書は、自社の都合が良いように、何らかのお化粧(デコレーション)をしています。このお化粧を、
即、粉飾という虚偽報告として判断するのは早計です。そもそも、会計原則などは一定の定めを設けているものの、
必ずしも企業の実態を表してはいません。まして、納税申告書などは、如何に合理的に税金を徴収するかを基本にし
ていますので、経営実態とかけ離れている場合が多いのです。だからこそ、決算申告書や有価証券報告書から企業
の実態を判断する”目利き”の能力が金融マンには重要になります。
 カネボウの倒産の直接的原因はカネボウ不動産の不良資産が経営の重しになったのですが、カネボウの決算書
は大昔から、企業の実態を隠す粉飾決算書です。これは、労働組合が経営を乗っ取った歴史が遠因になっていま
す。彼らは、自分たちの立場だけを守る経営をしたのです。だから、株主や社会的責任を蔑ろにしていました。偶々、
化粧品部門が当たったので、この体質は変わることなく永延と繰り返されていました。
 このことに気付いていた銀行は、カネボウから融資を引きあげました。メイン銀行でもなければ、金融機関が虚偽報
告の修正を強く求めることはしません。信頼できない会社へは融資をしないあるいは融資を引き上げるのです。です
から、借入の多い会社が、何故にこの銀行からの借入が無いのだろう、と考えることも大切です。カネボウのメイン・
準メインが、社会的責任の自覚が薄い銀行だったことも、双方の不幸を大きくしていました。
 取引先の決算書に粉飾疑惑があっても、直接的に”粉飾をしていますか”と問うことはできません。そこで、同業他
社や実態との比較をして、ナゼ、ナゼと合理的理由をしつこく追求することです。このことが、企業の経営改善にもな
りますし、その疑問に応えられない取引先は支援に値しないのです。私は、こでれ大分嫌われましたが、これも融資
担当者の使命です。粉飾決算を基にした経営方針などでは、真の経営は出来ません。嘘吐きは倒産の元。

 (3)鉄鋼橋梁業界の談合報道がありますが、金融機関の社会的責任や使命から、これ
     らの企業に融資を継続していて良いのでしょうか?
   残念なことですが、我が国全体が談合社会です。コンプライアンス(法令遵守)を経営方針のトップに掲げ
     なければならない程、企業倫理は崩壊しているのです。このことは金融業界も同様です。せめて、融資業務
     の担当者は、金融機関の社会的責任と使命を自覚して業務推進に努めてください。そして、取引先にも社
     会的責任を自覚するよう指導をしましょう。違法行為は、企業の安定的経営を阻害する重大な要因です。
 社会認識が大きく変化をしています。西武グループの株主虚偽報告事件で明らかになりましたが、明治以来の伝
統的経営手法が犯罪にも成り得る時代です。アリババの仲間たちと暮らしていて、泥棒は駄目よ、とは言い難いもの
ですが、放っておくことは幇助に等しいと思います。弁護士や税理士には脱法行為や不法行為のスレスレを指導す
ることが知識と考えている者も多いのですが、”ダメなものはダメ”と言える職業へのプライドを持ちたいものです。そ
のためには、先ず金融機関から、平等・公平・公正を自覚した経営や営業に努めなければなりません。暴力団や変
質者だけが社会の敵ではないのです。「融資担当者は金融機関の良心」と言われた時代が懐かしく思われます。

 (2)この頃、金融マンであることに疑問を感じ、転職を考えています。転職には、どのよう
     な能力が必要でしょうか?
 どこの職場にも不満はツキモノです。先ずは、不満の原因を考えてみましょう。原因の多くは人間関係でしょう
   が、転職をしても人間関係の難しさは付きまといます。自己実現のためならば、自己の目標に向かって躊躇わ
   ずに転職をすれば良いでしょう。さて、明確な自己目標とその目標達成までの困難と立ち向かう覚悟があります
   か。金融機関を就職先として選択した理由を振り返ってみましょう。心の隅で、"寄らば大樹の陰"という気持ち
   が働いていたのであれば、"給料は我慢代"と割り切って、適当に金融マン人生を楽しむことに専念すべきで
   す。"中小企業の発展に寄与したい"というのなら、一所懸命に仕事に励むべきでしょう。確かに、金融マンの仕
   事や報酬は厳しくなっていますが、それでも、世間の平均から比べれば恵まれています。今の処遇や報酬より
   も恵まれた職場環境などは、極稀です。金融マンとしての立場を失うと、まさに、自身の実力だけで勝ち抜かね
   ばならないのです。それでも、自立して仕事をしたいのならば、他に負けない自身のスキルを磨くことです。
 元金融マンで信頼する友人の推理作家が、エッセイや小説の中で記述しています。自立して仕事をするのであれ
ば、@話すか書けるかで自己表現ができること、が必要条件になります。これは自己表現力で、ゴマスリも重要な要
素になります。皮肉屋の私はこれに、A尤らしいウソを考えられること、と付け加えています。これは特技であり、他
に優位な発想力です。全てには絶対などありませんので、他人を納得させるだけの知識や内容が必要になります。
更には、B清貧を苦にしない、あるいはお金に執着する精神力、が必要です。相反するようですが、自己の実力だけ
を頼りに仕事をするのですから、収入が不安定になります。収入が少ない時はひたすら耐える、収入源が見付かった
ら貪欲に追いかける、ことが重要になります。そして、C家族の理解D孤独を楽しむ信念E失敗や恥を恐れない
楽天的性格、最後にF健康あるいは体力、です。如何ですか、この内一つでも覚悟ができなければ、転職を考える
という甘えを捨てることです。一旦退職をすれば、もう元には戻れないのですから。全てが自己責任ですから、後悔す
らできません。といっても、自由業って楽しいですよ。自身の可能性を信じて、覚悟して、こちらの世界へいらっしゃ
い。お待ちしております。

 (1)どこの銀行が一番借り易い?
   銀行融資に関わる仕事をしているとよく聞かれる質問です。”借り易い”には色々な意味合いがあるから一
     概には答えられません。顧客にとっては”審査が甘い”ということが借り易いと思うのでしょうし、”相談に十
     分対応をしてくれる”も借り易い要素です。そして、”諾否の回答が早い””偉そうにしない””応対態度が良
     い”もあります。”応対態度が良い”ならば国民生活金融公庫がNo1。中小企業金融公庫も親切です。意外
     と思われでしょうが、公的金融機関はバブル経済期頃から格段に応対が良くなっています。
 勿論、継続的取引をしていると民間金融機関も”大切にしてくれる”でしょうが、一見客に親切なのは住宅ローンだ
け。公的金融機関の応対が良い理由は、@バブル期から民間金融機関の審査目線が低くなって公的金融機関の
顧客層に融資対象を広げてきた、A公的金融機関の審査は形式主義なので融資諾否が分かりやすい、B公的金
融機関は苦情を受け易い(民間金融機関に苦情を言うと後々の影響が心配)、C民業圧迫との政治的批判がある、
などが考えられます。公的と民間との最も大きな違いは、公的金融機関は貸し倒れになっても経営に影響が少ない
(国民負担)ことでしょう。しかし、公的金融機関が親切なのは、それだけではないのです。職員の教育システムが
充実している、仕事量に余裕がある、ことも理由として見逃せません。顧客対応の点では、公的金融機関に見習う
点が多いので、参考なさることを望みます。顧客が相談し易い仕組みが必要です。ハード的な環境の見直しも重要
です。取引先の情報保護の観点もあるのでしょうが、パーテーションで囲った融資業務室や面談室も閉鎖的で、顧客
にとっては隔たりを感じます。もっと余裕のあるオープンスペースにして情報保護をする工夫が欲しいと思います。


皆様の”融資業務の疑問”をお待ちしています。

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