RC succession 『雨上がりの夜空に』

作詞・作曲 忌野清志郎・仲井戸麗一 from LP『RHAPSODY』
1980年 HAPPY JPKE PUBLISHING


『雨上がりの夜空に』のコード進行は、D/A/G/Dで始まり、D/A/G/Dが何度も繰り返される。それに単調な旋律を組み合わせ、聞き手は次第にストレスが高まる構造だ。詩も『この雨にやられて、エンジンいかれちまった』で始まり、「トラブってなんだか苦しいぜ」と、作家の気持ちが単調な曲をバックに迫ってくる。清志郎のボーカルだって苦しそうだし。

 ところが、聞き手のストレスが最高潮に達し、もう「あたしダメ!」といったところで、スッと流れるような(暗めだけど)美しいコード進行G/A/D/Bmへと変化するのである。これは、ずるい、いや、上手な手法である。Gのコードが流れた瞬間に、辺りの空気まで一変する。それに乗せて、すかさず清志郎が『ohh 雨あがりの夜空に流れる。ohh 雲の切れ間に、ちりばめたダイヤモンド』と、これまでの乱暴者口調から一転して、少女漫画風ふわふわセリフで決める。

 この決めセリフを効果的に聞かせる仕掛けが、めちゃくちゃ上手いのがRCサクセッションというバンドだ。『トランジスタラジオ』『スローバラード』などの代表作では、必ずと言っていいくらい、こうした仕掛けが効果的に使われている。「おいらの音楽は理屈じゃないぜBABY」とか言いながら、意外なくらい繊細な曲作りが、このバンドの持ち味である。

 こうしたRC手法の成功以後、ロマンチック少女趣味的な詩をストレートに、そして素直に歌う、一見乱暴者バンドが、次々と生まれた。RCの成功で日本のパンクロックは、イギリスなどとは違う方向に進んでしまったように思う。もちろん、文化・思想的背景が違うという理由が大きいけどね。THE BLUE HEARTSなどは、このRC手法を踏襲して成功したバンドだろう。「ふたりが夢に近づくように キスしてほしい」と、甲本ヒロトが歌う『キスして欲しい』(1987年 作詞・作曲 甲本ヒロト)、『ラブレター』(1988年 作詞・作曲 甲本ヒロト)などは、思いきりこのスタイルである。曲の繊細さは、RCに及ばないけど・・・・・。とはいえ、彼らには、彼らなりの格好良さがあるとは思うよ。

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